筋肉内のコリをほぐして痛みを治すトリガーポイント鍼療法

筋肉内のコリをほぐして痛みを治す
トリガーポイント鍼療法

小松教布こまつたかのぶ先生(特別講座講師/サンテ鍼灸院代表)

慢性痛の8割は筋肉内部の“ひどいコリ”が原因

小松教布先生は、数あるはり灸・あん摩マッサージ指圧に適応する症状の中でも、慢性痛の解消に力を入れている。
 主に駆使するのは「トリガーポイント鍼療法」だ。
 「トリガーポイント」とは痛みを発する点(発痛点)のこと。近年、慢性痛の原因として注目されている。マッサージを受けても、温泉に入っても、注射を受けても、手術をしても治らない慢性痛の8割は、筋肉内部に生じた〝ひどいコリ“が原因の『筋・筋膜性疼痛症候群』で、痛みを起こす筋肉の内部には、硬くしこったバンドのような部分があり、そこを強く押すと独特の激しい痛みを起こすトリガーポイントがあるのだ。
 たとえば、背中を支える脊柱起立筋のトリガーポイントによる腰痛が、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と間違われたり、左胸群の痛みが狭心症と疑われたりといったことは多々あるらしい。
「私は中和の卒業生です。本科で学び、鍼灸、あん摩マッサージ指圧の奥深さを実感し、全部完璧に習得するには相当時間がかかると思いましたので、まずは誰がやっても治療効果が出る方法で、鍼治療で患者数が多い疾患をしっかり治せるようになろうと決め、探し当てたのがトリガーポイント鍼療法でした。
 関西医療大学の黒岩共一先生が主催する勉強会に4年ぐらい通い、さらに実際の治療を見学させていただいて技術を身に着けました。
 鍼治療を受診される方のほとんどは、痛みを何とかしてほしいといって見えられます。それもさんざんドクターショッピングをした後で、どうしようもなくなって最後に鍼でも試してみようかなという方が多い。鍼灸の治療家でトリガーポイント鍼治療をやっている人はまだ少数ですが、治療効果は高いので、今後は普及するのではないかと思っています」

病院よりもさらに細い鍼で治療する

トリガーポイントに働きかける治療法には、横浜市立大学の北原雅樹教授が日本に導入した『筋肉内刺激法(IMS)』というのがある。一般的なペインクリニックで行われるトリガーポイント注射と違い、薬を使わずに、鍼治療に用いる針を使うのが特徴だ。深い部分にある筋肉を針で刺激して、筋肉のコリや痛みを和らげ、筋肉の柔軟性を回復させるマッサージのような治療法で、トリガーポイント鍼治療と基本は同じ。
 ただし、かなり痛い。
「IMSは即効性も高い素晴らしい治療法ですが、痛すぎると、効果があっても、患者さんには敬遠されてしまいますよね。大学病院なら、それでも患者さんは通ってくれると思いますが、鍼灸治療院ではむずかしい。
 治療効果があらわれるのは多少遅くても、ちゃんと効果は出て、次も通いたいと思ってもらえるよう、トリガーポイント鍼治療では、IMSよりもさらに細い鍼を使い、優しい治療を行っています。だいたい治療の一日二日後ぐらいから痛みが消えたという患者さんが多いですね」
 トリガーポイントは、筋肉があるところ、身体全体のどの部位でも発現する。しかも患者本人が痛いと感じている場所とトリガーポイントは必ずしも一致しない場合が多いため、余計、診断・治療は難しい。痛みのメカニズム自体、医学的にまだまだ未解明な部分もある。
 「痛みは体の状態プラス心理的要因がすごく大きい。トリガーポイント鍼療法を受けたという事実だけで痛みのレベルが下がる人もおられます。トリガーポイント自体も、まだ一般化されていないので、『整形外科ではヘルニアだと診断された』といって来院された方でも、そうではなく、トリガーポイント鍼療法が効く患者さんは多いです。西洋医学のドクターでも、痛みに関しての認識・治療ができる先生はまだ少ないのかなという気がしますね」

 痛みの少ない鍼療法で、積年の慢性痛から患者さんを解放する。トリガーポイント鍼療法は、注目すべき痛み治療法だ。

※参考資料『肩・腰・ひざ…どうやっても治らなかった痛みが消える!』(横浜市立大学診療教授 北原雅樹著)

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